兵児帯で浴衣の着付けを簡単に行う方法とは
夏祭りや花火大会……夏は浴衣で参加したいイベントが盛りだくさんですね!
とはいえ、浴衣を着たいけど、ひとりで着付けができるか、特に帯が結べるか心配という方もいらっしゃるでしょう。
そんなあなたの救世主が「兵児帯(へこおび)」です。
兵児帯なら、とっても簡単に結べるうえに、かわいいアレンジもたくさんできますよ!
兵児帯って何?という方もいらっしゃるかと思いますので、まずは兵児帯とはなんぞや?からお話させていただきますね。
兵児帯とは
兵児帯とは、和服の帯の一種です。大幅(約74cm)と中幅(50cm)の2種類があり、やわらかく締めやすいのが特徴です。
兵児帯の「兵児」は、薩摩兵児(さつまへこ)=昔の鹿児島の青年男子に由来しています。
かつては絞りや無地の縮緬地で作られているのが一般的でした。
彼らが締めていた帯が明治維新とともに東京へ伝わり、全国へ広まっていったと言われています。
兵児帯はやわらかく扱いやすいことから子供も結ぶようになり、現在では大人の女性にも人気です。
そのため、絞りだけではなく、シフォン生地のように透け感のあるものや、リバーシブルの柄ものなど、デザインもかなり豊富。
あなただけの素敵な兵児帯を見つけて、浴衣を楽しんじゃいましょう!
兵児帯を使い着付ける手順と方法
浴衣を着たあと、兵児帯を胴に2周(細身の方は3周)させ、前で好きなように結びます。
それから、帯を後ろへくるっと回します。
言ってしまえばこれだけです。
それほど簡単に結べるのが兵児帯なんですよ。
とは言え、いくつか着付けのポイントがありますので、順を追ってご説明します。
補正をする→浴衣を着る
兵児帯はやわらかいので、他の帯に比べてゆるみやすいです。
体に凸凹があるときれいに結びにくく、帯がゆるむ原因になります。
浴衣を着る前には、必ずタオルなどでウエストを補正しましょう。
また、帯板を使うのもおすすめです。
帯を縦半分に折って巻く→前で一度縛る
兵児帯は幅がある帯なので、まず半分に折ります(帯によっては折らなくて良い場合もあります)。
細すぎると子供っぽく、貧相に見える場合がありますので気をつけてくださいね。
折ってできた輪は下側です。
兵児帯を胴に2周(帯が長い場合は3周)させ、前で一度縛ります。
縛った上側のラインが一直線になるようにすると、仕上がりがきれいになりますよ。
帯を結ぶ→帯を後ろへ回す
好みの結び方で帯を結んだら、帯を後ろへ回します。
このとき、時計回りに帯を回すようにしましょう。逆回りにすると、せっかく結んだ帯が崩れてしまいますので、気をつけてくださいね。
また、折って棒状にしたミニタオルを結び目の下に入れておくのもおすすめです。帯に立体感が出て、崩れにくくなります。
ミニタオルは帯の輪の中に納めましょう。
さて、とっても簡単でしたね。
兵児帯は、シンプルにまとめても、華やかにアレンジしても、どちらもそれぞれにかわいらしくできます。
シンプルにまとめる場合でも、基本は生地を広げてニュアンスを出しましょう。
ヘアスタイルを整えるとき、たとえば三つ編みをしたときは、髪を少し引っ張って崩しますよね。
そうすることでニュアンスが生まれ、おしゃれに見えるのと同じです。
ポイントさえ押さえておけば誰でも簡単に結べますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
兵児帯と半幅帯で結んだ時の違いについて
さて、ここまで兵児帯についてお話してきましたが、女性の浴衣の帯といえば、他には半幅帯があります。
半幅帯は染めで作られており、お太鼓が結べる織りでできた帯の半分の幅しかありません。
ですので、比較的扱いやすく、浴衣レンタルでも人気があります。ここでは、兵児帯と半幅帯の結んだ時の違いについて少しお話しますね。
兵児帯と半幅帯、結ぶのにどちらが難しいかと聞かれたら、やっぱり半幅帯の方が難しいでしょう。半幅帯は兵児帯に比べてハリのある生地で作られています。
そのため、例えばリボンの形を作るときなどは、きれいに形を整えておかないと見た目がよくありません。
結び目もきちんとしておかないと、だらしなく見えてしまう場合があります。
その点、兵児帯はとてもやわらかいので、リボンの形がちょっと崩れたとしても大丈夫です。むしろそれがニュアンスになったりします。幅広でふわふわとした生地なのでボリュームが出て、結び目もごまかしがきくのです。
とは言え、半幅帯はおすすめできないというわけではありません。
半幅帯の良さは、カジュアルな着物にも使える、その凛とした存在感です。また、結び方も特別難しくはなく、かわいいアレンジも豊富です。
あくまで兵児帯の方が簡単だというだけですので、涼やかで凛とした浴衣姿にチャレンジしたい方は、ぜひ半幅帯を手に取ってみてくださいね。
一方、兵児帯の良さは、そのやわらかな雰囲気です。
歩くたびにふわふわと揺れる兵児帯は、浴衣の後姿をかわいらしく演出してくれます。
また、もしゆるんだとしてもとりあえずリボン結びをしておけばどうにかなるという、ゆるんだときの心配度の低さも魅力的です。
浴衣初心者さんに特におすすめの帯と言えます。
ここまで兵児帯と半幅帯の違いを少し書いてきましたが、どちらの帯も魅力的な浴衣姿を作ってくれることは間違いありません。
兵児帯と半幅帯で迷ったら、帯自体で考えるのではなく、それぞれの結び方のアレンジ例を見てみることをおすすめします。
「兵児帯 結び方」「半幅帯 アレンジ」などのワードで、YouTubeの動画ややウェブ上の画像を簡単に検索できますよ。
これだ!という結び方が見つかったら、その結び方ができる帯を選べばOKです。
とは言え、今回は兵児帯での浴衣の着付けをメインに書いてきましたので、兵児帯についてもう少しだけ。
初めて兵児帯を選ぶなら、しわ加工されているものがおすすめです。
ネットや通販では、「しわ兵児帯」と表記されているものが多いかもしれません。
最初からしわがあれば、巻くときや結ぶときに少しくらいくしゃっとなっても安心です。
ボリュームも出ますし、結び目のごまかしがききやすくなります。
兵児帯は半幅帯よりやわらかな雰囲気になると書きましたが、もちろん大人っぽく、キリッとした印象に仕上げることもできます。
ポイントは、深みのある色のものを選ぶことです。クールに決めたいときは、特に黒がおすすめです。
ツヤのあるものがおすすめですが、さらっとした印象にしたいときには、マットな質感のものでも良いでしょう。
甘めの浴衣を引き締めるもよし、大人っぽいデザインにさらに黒を効かせるもよし。
黒ならたいていのデザインに合いますので、一本持っておくと便利です。これに帯締め&小さめの帯留めをつけてもおしゃれですよ。
兵児帯に帯締めと帯留め? と首をかしげる方もいらっしゃるかもしれませんが、最近は半幅帯にも帯締めをして、帯留めをつけることもあります。
何より、兵児帯はやわらかいので、ゆるみやすく、ずり落ちやすいです。帯締めをすればずり落ち防止になりますので、初心者さんにこそ実はおすすめなんですよ。
最初に書きましたが、現在の兵児帯は、素材やデザインが本当にたくさんあります。
シフォンやオーガンジー、麻など。デザインも絞りだけではなく、柄ものやバイカラー、刺繍が施されているものもあります。
結び方は同じでも、帯のデザインが違っていれば、イメージはがらっと変わるものです。
自分の理想の一本を見つけてみてくださいね。
さて、兵児帯の魅力について書いてきましたが、いかがでしたか?
浴衣は着たいけど、着付けが難しそう……と迷っている方の背中を少しでも押せたでしょうか?
何度でも書いてしまいますが、兵児帯の魅力はなんといってもその手軽さです。
もし歩いている途中でゆるんでしまっても、「とりあえず巻いて後ろでリボン」、これで行けます!
初心者さん、そしてもちろんベテランの方にもおすすめの兵児帯で、今年の夏の浴衣ライフを満喫してくださいね!
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