着物の裾除けとは?使い方もわかりやすく解説!
裾よけって、着物の下に着るただの下着と思っていますか?
普段目にする裾除けは、長い長方形をした布の左右に紐がついている薄い布地です。
しかしその生地をよく触ってみると、布の上の部分と下の部分では生地の素材が違っていて、ただの下着にしては多少凝った作りになっています。
そもそも、裾除けはなぜ着るのでしょうか? 特に暑い夏に着物や浴衣を着るときでも必要なものなのでしょうか?
実はとっても重要な役目があるのです。そんな裾除けについて詳しくご紹介していきます。
そもそも着物の着付けがどのようなものか知りたい方はこちらをご覧ください。「着物レンタル店が着物の着付けの流れを5つのステップで解説!」
着物の裾除けはどういうものか
着物の着付けをするとき、長じゅばんの前に着る下着です。昔からの定番の着物の下着は、上半身に身に付ける肌じゅばん、下半身に身に付ける裾除けのセットです。
裾除けを着るといっても、腰に巻く腰巻きタイプが多いですが、今では、スカートやステテコの形をしたものなど様々な種類があります。
また肌じゅばんと一体になったワンピースの形のものもありますが、ここでは定番の腰巻タイプの裾除けをお伝えしていきます。
裾除けの役割は主に4つ
- 着物や長じゅばんの裾の汚れを防ぐ
- 裾さばきをよくして着物の着崩れを防ぐ
- 防寒のため
- 体型の補正効果
着物や長じゅばんの裾の汚れを防ぐ
着物や着物の下に着る長じゅばんは、多くは正絹から(絹からできた織物)できているので、めったに洗うことはありません。
また正絹は汗にとても弱い生地です。着物の素材が木綿や化繊でなければ、着物を洗う時は悉皆職人などの専門の職人さんや業者の方にお願いすることになります。よって、着物がなるべく汚れないように裾除けを身に付けるのです。
着物や長じゅばんが頻繁にお洗濯できない分、裾除けは1度着用した後は必ずお洗濯して、着るときは常に清潔な状態にしましょう。
裾さばきをよくして着物の着崩れを防ぐ
着物や長じゅばんの下に、裾除けをきちんと着ると、歩く時の裾さばきがとても良く歩きやすくなります。自分に合っていない裾除けを身に付けると、常にもたついた感じがして、着ているだけでストレスがたまります。
また動けば動くほどどんどん着物自体が着崩れてしまいます。
体の一番下に着る裾除けは、そのあとに着る長じゅばんや着物の着付けの出来映えだけではなく、着付け後の所作にも影響していまいます。
防寒のため
昔は特に木造が多かったため風通しが良いため寒く、冬は下半身の保温のために身に付けるという意味合いもあります。
体型の補正効果
裾除けは2つの生地を使っています。腰に巻く部分は、綿素材の生地で、それよりも下の足の部分は、裾さばきがよくなるようにすべりのよい生地(絹や化繊など)を使っています。
腰に巻く綿生地の部分は腰布または力布と呼ばれ、裾除けを着るとき、この腰布を下腹やお尻の余分な肉を押し上げて身体に巻くことで体型補正をしてくれます。
裾除けの使い方
裾除けの役割はお分かりいただけたと思います。では実際着付けをする際、どんな裾除けを使えばいいのかわからない方、手持ちのものは使ってもいいものなのか悩んでいる方、まずは選び方から考えてみましょう。
裾除けの種類による選び方
今は、気軽に着物を楽しむことが出来るように、様々な形の裾除けがあります。代表的な4つのタイプをご紹介します。
腰巻タイプ
昔からある定番の裾除けです。腰布が綿生地で、それより下の部分(脚布といいます)がポリエステルのものが多いです。
お求めやすい価格であること、1年中着用することができること、そしてフォーマルからカジュアルな場面まで対応できることで、1枚持っていれば間違いなしです。
ステテコタイプ
近頃、人気になっているステテコのようなパンツの形をしたものです。脚部での素肌のスレが抑えられるので、夏の時期に好んで着用される方が多いと思います。
反対に冬の寒い時期は、保温性を高めるために、腰巻タイプの裾除けの下に着用することもできます。
活用シーンとしては、お稽古やちょっとした外出、夏は浴衣の下に着るなど、カジュアルな場所へのお出かけに向いています。
スカートタイプ
腰布がゴム状になっており、スカートの形をしています。活用シーンは腰巻タイプと同じように使えますが腰巻タイプと違い、洋服のスカートと同じように、手軽に着用することができます。
ワンピースタイプ
上半身の肌着と一体型になったものです。したがって、着用する時間や手間が短縮されることが魅力です。
洋服のロングワンピースのように頭からかぶって着脱するものや、定番の裾除けのように腰に巻きながら着用するものなどがあります。
季節による選び方
着物を普段から着ている方になると、季節に応じて裾除けを使い分けている方もいらっしゃいます。
暑い夏の時期は、透け感のある夏物生地の絽の素材のもので、通気性・着心地・裾さばきがよく、静電気も起きにくいので夏の時期に適しています。絽は、昔は絹織物だけでしたが、今では化繊でも絽の織り方をした夏用の裾除けが売られています。
反対に冬はウールやネル素材のものを使用し、保温性を高めます。
色による選び方
裾除けは、色は白が多いですが、色付きのものや柄ものもあります。
しかし下着にあたるので、薄い色の着物の下に濃い色の裾除けを着ていると映る場合があります。洋服でも薄手の洋服の下には、濃い色の下着はつけないですよね。
着物も同じことがいえます。特に夏は着物の素材自体が透け感があるものなるので、気をつけたいところです。
また留袖や訪問着などのフォーマルな着物には白の裾除けを身に付けることが一般的です。
裾除けを選ぶときも、着物と同じように季節やTPOにも気を配ることが大切です。
しかし肌に直接触れる下着ですので、着る人がいかに着心地が良く感じるかを重点に置いて、選ぶことをおすすめします。
裾除けの着方
いよいよ裾除けの着付けです。上半身に着る肌じゅばんより先に裾除けを着ます。
1、身体の後ろで、裾除けを広げます。左右の紐の付け根部分持ち、腰布の真ん中のあたりを腰骨の位置にあてます。
ポイント:裾の高さは、着物の裾線から見えないように、くるぶしの位置に合わせます。
2、左手の上前を右腰骨の位置に合わせます。(着物の上前幅が決まります。)このとき、右手は紐の付け根部分を持ち、右に引いた状態にします。
3、左手をそっと開いて、右手側を左の腰上へ持って行き、5cmほど上に引き上げます。
4、左手がわを右腰の脇に持っていき、上前を合わせ、5cmほど上に引き上げるます。 正面からみると、両手がX字に交差している状態になります。
ポイント:それぞれの手で紐を引いている力をゆるめないようにしましょう。上に引き上げることにより両脇が上がって裾除けが、裾つぼまりになります。
5、左右の紐の付け根部分の持ち手を持ち替えます。このとき、左右両端の紐のついている生地が三角になって上に飛び出ているので、三角に飛び出ている部分を下に折り返します。 折り返して合わさった腰布の部分が補正の役目をします。
6、 そのまま左右の紐を後ろに回し、前に持ってきて蝶々結びをします。結んでから余った紐は左右の紐にからげます。これで裾除けの出来上がりです。
いかがでしたか? 箪笥の中の裾除けの存在感が増したでしょうか? 他人には見えないけれど、着付けの仕上がりや着心地の良さを支えるなんて、まさに縁の下の力持ちのような存在です。
今夏は裾除けもきちんと身に付けて、素敵な着物・浴衣の着こなし美人を目指してくださいね。
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